第10回 現物取引と先物取引

現物取引と先物取引

現物取引

トレードデートで取引を約定して、バリューデートにおいて契約内容を実行します。


値段や数量など、契約に基づいた金融商品の受け渡しや代金の授受です。これを現物取引といいます。


バリューデートはスポットデート以外にも、様々に決定することができます。


つまりフォワードデートの契約であっても、それは現物取引に数えられるのです。


現物取引においては、取引内容を忠実に遂行しなくてはいけません。


売買代金に関しては、すべての授受が要求されます。


仮に同じスポットで米ドルを100万ドル売り買いしても、ドル価はネットオフされることはありません。


自分が支払うべき100万ドルと受け取る100万ドルは別物なのです。


円価についても同様で、支払うべき分は事前に満額を準備しなくてはいけないのです。

売買代金

先物取引

ある将来の1日を特定のバリューデートとして設定し、その値段を集中的に売買させる仕組みを先物取引といいます。


先物取引は証拠金取引の一種です。


したがって反対売買することが前提とされており、売買代金は満額を授受する必要はなく、差額決済は可能だとしています。


多くの金融商品では現物取引のマーケットと先物取引のマーケットが併存しています。


どちらで取引しても問題はないのですが、目的が儲けることであれば、流動性の豊富なほうを選ぶことになります。


流動性とは取引量が多いことが第一の条件です。そして常にビッドとアスクの相場が建っていることです。


取引時間が長いなども重要な条件です。


現物と先物でどちらの市場が活況かは、だいたいリスクファクターによって決まっています。


株価では個別株と株価指数先物では、ほぼ同じような取扱高であって、どちらが優れているかは使用目的によるとしか言い様がありません。


しかし一般的には先物取引の方が市場のベンチマークとしても使いやすいとされています。


債券相場など金利の分野では、圧倒的に先物取引が市場をリードしています。


顕著なのは日本の長期債市場であって、現物はほとんど取引されていません。


アクティブに取引されているのは円債先物だけであって、現物の価格も先物価格を基にして計算されているのが実情です。


米国債のほうは日本と違って現物市場もしっかりしています。


テレビなどに出てくる「10年債の利回り」などというのは現物債の利回りです。


為替相場については専門に扱っているのが銀行であるということもあって、現物のほうが先物を圧倒しています。
現物市場と先物市場

そうなると現物と先物の二つの価格が存在するわけですが、どちらをウオッチしないといけないのかは市場の流動性によります。


つまりトレードするのに適しているかどうかが重要なのです。


それはマーケットではどちらの取引形態が選好されているのかを認識して、取り組まなければならないことを意味しています。

先物価格

先物取引でトレードされている値段というのは、一つの「特定の将来の日付におけるフォワード価格」です。


したがってスポット価格にキャリイングコスト分だけが乗っているだけであり、価格差だけを問題にする分には先物取引だけで何の問題もないということになります。


実際問題としてキャリイングコストがわからないと取引ができないというものではありません。


スポット価格と先物価格を同時に見て、その価格差がちょうどキャリリングコスト分に相当すると解釈するのです。


キャリイングコストは動かないわけですから、価格差は一定です。


スポット価格と先物価格が大きく違っていても、一度、この価格差を認識できさえすれば何の問題もなくトレードできるのです。
日経平均株価と日経先物